26.02.20
テニス🎾サーブと背骨のしなり
テニスのサーブにおいて、トッププロのような「重く、速い」ボールを打つためには何が必要か。
その答えは、筋力以前に「上半身の三次元的な連動性(キネティックチェーン)」にあります。
ある研究では、
“8週間のトレーニングで胸椎の可動域を改善させた若年競技者において、サーブの球速と精度が有意に向上した“
ことが実証されました。
しかし、多くの選手はサーブのスピードを上げたい時、本能的に「腕を速く振ろう」とします。
これでは連動性を無視した腕だけの力、つまり手打ちになりがちです。
今回は、サーブの動作効率を決定づける「胸椎の使い方」についてLigareの専門領域である解剖学·運動学的視点から解説します。
胸椎伸展が必要なのはなぜ?
サーブのスピードを最大化するには、ラケットを加速させるための「助走距離」が必要です。
この助走距離を伸ばすには、腕を深くしならせるポジション(肩の最大外旋位)を作らなければなりません。
しかし、 スピードを求めて腕の力だけで無理にラケットを引くのは危険です。
肩の関節内が詰まり、痛み(インピンジメント)の原因になります。
腕を安全に、かつ深くしならせるためには、肩甲骨が背中側へ倒れる(後傾)ことで、肩関節にスペースを作ることが求められます。
そして、 この肩甲骨を正しく倒すための絶対条件が、
土台となる 「胸椎の伸展」 なのです。
つまり、 胸椎がしならなければ、どれだけ腕力があってもサーブスピードの限界値は決まってしまうということです。
胸椎伸展の鍵を握るのは肋骨
✔︎肋骨は胸椎と関節を形成している
背骨(胸椎)と肋骨は、実は「関節」で繋がっています。
これを専門用語で 「肋椎関節(ろくついかんせつ)」 と呼びます。
関節で繋がっているということは、「肋骨が固まれば、背骨もロックされて動けない」ということです。
サーブで背骨をしならせるには、肋骨が後ろ方向へわずかに転がる(後方回旋する)動きが必要です。
肋骨のこのサポートがあって初めて、背骨の関節の適合性が高まり、無理のない「しなり」が完成します。
逆に言えば、肋骨が固まったまま背骨だけで反ろうとすると、関節同士がぶつかり合い、腰痛などの怪我に直結してしまうのです。
✔︎肋骨は部位によって動き方が変わる
·上位肋骨(第1~6胸椎)
→ポンプの柄のように前上方に持ち上がる(ポンプハンドルモーション)。
·下位肋骨(第7~12胸椎)
→バケツの柄のように横に広がる(バケツハンドルモーション)。
この胸郭の三次元的な拡張が起きて始めて、脊柱が無理なく動き、「しなり」の土台が完成します。
胸郭の回旋で最大パワーを溜める
✔脊柱の無駄のない軸回旋
回旋動作というのは、脊柱を軸にしてコマのように回ることを指します。
文字にすると簡単なようですが、実際は軸がずれて、回旋ではなく単なる回転動作になっている事も少なくありません。
軸がずれると、エネルギーが横方向に逃げてしまったり、サーブフォームが安定しないという結果に繋がります。
軸回旋により、適切なエネルギー伝達がパワーを最大限に引き出し、かつ安定した再現性のあるサーブを可能にします。
✔骨盤と胸郭のねじれ
トロフィーポーズからスイングに向かう際、まず骨盤が回旋を開始し、胸郭は少し遅れて回旋します。
このねじれのことを 「捻転差」 と言います。
この時間差により、腹斜筋群がゴムのように伸ばされてから縮み、強力なパワーを発生させます。
側屈が高い打点を作る
✔脊柱の側屈
ある研究によると、
“上級者と中級者(右利き)を比較した際、上級者はインパクトに向けて腰椎の伸展角度が小さく、左側屈の角度が有意に大きい”
ことが判明しています。
インパクト時の脊柱の側屈がもたらすメリットとしては以下が挙げられます。
・側屈により、利き腕の肩が上がり、より高い打点でのインパクトが可能になる。
・腰椎の伸展による障害を予防しつつ、腹斜筋群の伸び縮みによるパワーアップが期待できる。
Ligareのアプローチ
リガーレでは、テニスのフォームを矯正するというよりも、正しいフォームの為の身体機能を整えることを優先して実施しています。
「なぜサーブスピードが上がらないのか」
「なぜ肩が痛くなるのか」
という根本原因を、解剖学的評価から特定します。
「腕」への負担を減らし、背骨の「しなり」でボールを飛ばす。
怪我なくパフォーマンスを最大化したい方は、ぜひLigareのセッションをご体感
ください。
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参考文献:
·Chow, J. W., et al. (2009).Lower trunk kinematics and muscle activity during different types of tennis serves. British Journal of Sports Medicine.
·Gillet, B., et al. (2023).Effects of an 8-week multimodal program on thoracic posture, glenohumeral range of motion and serve performance in competitive young tennis players. Frontiers in Sports and Active Living.
·Miyashita, K., et al. (2010).Scapular rotation to attain the peak shoulder external rotation in tennis serve. Medicine and Science in Sports and Exercise.





