25.10.27
動きの質を向上させる 反り腰とスクワット
近年、競技現場においてはパフォーマンス向上や傷害予防を目的として、重りを用いたウェイトトレーニングを取り入れているチーム・部活動が急速に増えてきています。
ウェイトトレーニングは数多くのメリットがある一方、負荷をかけて行うため不適切な方法であると怪我や慢性的な痛みを引き起こすリスクもつきまといます。
中でも、不良姿勢としてよく見られる 「反り腰」 の人は、スクワット時に腰痛を訴えるというケースもよく耳にします。
これは、単に腰を反っているからという単純な話ではなく、腰椎や股関節を含む骨盤周囲の連動性の乱れに起因することが多いです。
今回は、反り腰の人に多いスクワットフォームについて解説していきます。
1.適切なスクワットとは
スクワットは、しゃがむ・ジャンプするなど日常やスポーツ動作の基礎となる全身運動です。
適切に実施することで、大腿四頭筋やハムストリングス、大殿筋といった下肢全体の筋量増加が期待でき、体幹と下肢の適切な協調運動を獲得する上でもとても有効になります。
そんなスクワット動作には様々な種類があり、目的によって適切なフォームが異なります。
膝を前に出すことは良くないというのは聞いたことがあるかもしれませんが、目的によってはそれが正しいフォームになる場合もあります。
それでも、最も効率的に力を発揮できるフォームを基準に考えると、
「上半身質量と下半身質量が垂直に並んでいる状態」
が理想とされます。
この状態では、各関節におけるモーメントアームが最小限に抑えられるため、筋による制御を少なくし関節で動作を安定させることができます。
2.適切なスクワットフォーム
フルスクワットでは、股関節の屈曲可動域の約90°を超えて更に屈曲していく必要があります。
股関節だけの屈曲可動域を超えると、骨盤が後傾(=腰椎が後弯)することでそれ以上の可動域を確保し、深い位置までの股関節屈曲を可能にします。
このように大腿-骨盤-腰椎がスムーズに連動するように動くことを、それぞれ骨盤大腿リズム・腰椎骨盤リズムと言います。
スクワット動作では、体幹と下肢が協調し、「上半身質量と下半身質量が垂直に並んでいる状態」を作り出しているのです。
3.反り腰の特徴
不良姿勢の一つである反り腰は、腰椎の生理的前弯が過剰になっている状態を指します。
このような状態では、腰部に付着する多裂筋や広背筋などの柔軟性は低下、体幹の深層筋である腹横筋は機能不全になり、腰椎の安定性が損なわれやすくなります。
実際に、スクワット時に腰を痛めたという経験がある方は多いのではないかと思います。
では反り腰だとなぜ腰を痛めやすいのでしょうか?
4.反り腰のスクワットフォーム
フルスクワットにおいては、反り腰の場合、以下のようなフォームになっている可能性が高いです。
腰椎過前弯により腰椎の後弯が制限されていることで股関節屈曲に伴う骨盤の後傾が出ない。
→腰椎後弯が制限された結果、過度に体幹を前傾させることで下半身質量が後方に移動する。
→→腰部に大きなモーメントアームが生じ、腰部伸展筋が過剰に緊張、腰部に負荷が加わる。
このように、 「腰椎の後弯制限」 をもとに体幹と股関節の協調運動が失われ、腰部に過剰に負担がかかることで、腰を痛めやすいということが分かります。
そのため、反り腰の人がフルスクワットにおいて適切なフォームを獲得するためには、 「腰椎の後弯可動性」 が必要となります。
5.コレクティブエクササイズ
適切なフルスクワットを実施するためのエクササイズを3つご紹介します。
トレーニング① | 広背筋ストレッチ
腰椎後弯の制限因子となる広背筋の柔軟性を高めていきます。
トレーニング② | 胸椎回旋 呼吸
呼吸と共に骨盤の前後傾の動きを引き出していきます。
手で地面を押しながら胸を張ることで、骨盤の過前傾による代償を抑えた胸椎の伸展が可能になります。
トレーニング③ | Cat & Dog
脊柱の分節運動を学習し、骨盤後傾や仙腸関節の安定化を担う腹横筋を賦活化させていきます。
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