23.11.14
股関節が硬くなる原因
股関節は衝撃の吸収・力の発揮に重要な役割を担い、股関節の筋肉を強化することでパフォーマンスの改善を図ることにフォーカスを当てることが多いかと思います。
しかし股関節周囲筋(主に大殿筋・中殿筋・小殿筋)が硬く、ストレッチをしてもなかなか改善が見られないケースが多いのではないでしょうか。
殿部が硬くなると股関節の動きが制限され、他関節に負担がかかるだけでなくパフォーマンスにも大きな影響を及ぼすことになります。
股関節の動きを改善するためにストレッチをすることも重要であるが、
なぜ殿筋(股関節)が硬くなるのだろうか??
を考える必要があります。
1.重心位置のチェック
動きを見る上で重心の位置を推定することは重要な指標となります。
重心は、上半身質量中心(肩甲骨の下)と下半身質量中心(太ももの中心)の中間にある。
右側屈(身体を右に傾ける)は上半身質量中心を右に倒す動きとなります。
動きの中で重心を支持基底面(地面に接している面)内に保つ必要があり、そのために下半身質量中心を左に移動させ姿勢を保持しています。
2.足関節と股関節の関係性
閉脚位での側屈動作 ※左脚に注目
足関節は回外(地面に対して外に倒れる)し、股関節が内転します(殿部が外側に移動する動き)。
足関節が回外することで、股関節が外側に移動(内転)し下半身質量中心を外側に移動することができます。
下半身質量中心が外側に移動することで上半身質量中心を反対側に倒すための動きを補償し、安定性を確保しています。
❶下半身質量中心外側移動不良例|足関節の影響
足関節過回内|扁平足
土踏まずが低下し、アーチが潰れること下腿(スネ)の外側傾斜が減少し、股関節の外側移動(内転)量が低下します。
足関節過回外|足裏の内側が浮く
股関節が外側へ移動するための補償する動き(安定する場所がない)が少ないため、股関節の外側移動を下肢外側の筋肉で支えることになります。
❷下半身質量中心外側移動不良例|対側足関節の影響
股関節(殿筋)が硬い原因の一つとして、対側の足関節の影響がある場合があります。
対側の蹴り出しが内側に向かうことで、前足は外側への力を受けてその力を制御する必要があります。
トレーニングで脚を前後に開いて股関節の屈伸を行う場合も同様になります。
❸足関節機能改善トレーニング
以上のように股関節と足関節はお互いにバランスを取り合うことで姿勢・動きをコントロールしています。
そのため足関節の機能不全は股関節に対する負荷が増大し、股関節(臀筋)が硬くなる原因となります。
特に足関節捻挫をしたことがある方は足関節の柔軟性・筋力を十分に改善する必要があります。
足関節の荷重する位置が変化することで、動きの方向性が変化し、股関節や上半身で庇うケースが多く見られます。
3.上半身と股関節の関係
下部胸郭が外側に拡張することで上部胸椎が内側に倒れることができ、上半身質量中心が内側に移動します。(図右)
下部胸郭が外側に移動できないと、上部胸椎のみでの側屈となり右側に倒れる力が大きくなります。
その右に倒れる力を左の殿部で制御する必要があります。(図左)
そのため、胸郭の拡張不全は上半身の側屈を制限し股関節の外側で支えることとなり、殿筋に負荷をかけやすい状態となります。
胸郭機能改善
胸郭の可動性低下は上半身質量中心の移動を低下させ、股関節での制御が大きくなり、股関節(殿筋)が硬くなる原因になります。
股関節が硬くなる原因に対してアプローチすることで、柔軟性の維持・向上が見込めます。
ストレッチだけに留まらず、トレーニングも並行して行うことで動きやすい身体を獲得できるようになります。