年齢の変化やケガをキッカケに歩くスピードが落ちたと感じることはありませんか？

• 信号を渡り切る時間がかかる
• 外出や旅行で長時間歩くと疲れが残る
• 周りの人の歩くスピードに追いつけなくなった

このように歩行の効率やスピードの低下によって悩みは数多く寄せられます。

何が問題で歩行スピードが低下するのでしょうか？

問題になるポイントとして”股関節の伸展”という動きが関係している可能性があります。

今回も前回に引き続き、”歩行”と”股関節”の関係性をご紹介していきたいと思います。

脚が上半身よりも後ろに伸びる動きを股関節では「伸展」と言います。

この股関節の伸展において”お尻”や”内もも”の筋肉を使うことで、脚の力を地面に効率よく伝達し、歩行の”推進力”に変えることができます。

つまり、股関節を伸展させ、効果的にお尻や内転筋を使い推進力を生み出すことが歩行のスピードアップの秘訣となります。

しかし、股関節の伸展は股関節の付け根の柔軟性低下によって制限される可能性があります。

特にデスクワークなど座り姿勢は股関節が常に曲がった状態となり、付け根の柔軟性は失われます。

そのため、無自覚で制限されている”股関節の伸展”の改善がトレーニングのポイントの一つになります。

中高年になるにつれて運動機能の衰えにより、歩行のスピード（速度）は低下すると言われています。

例えば”大股で歩けなくなった”なんてことはありませんか？

大股で歩けないと１歩に進む距離が短くなり歩幅が狭くなり、結果的に歩行スピードが低下する原因となります。

中高年以後の歩行スピードが低下する特徴として以下のような原因が挙げられています。

①ステップ長の短縮

ステップ長の短縮は１歩の距離が短くなるため、１歩で進む距離が少なくなります。

②両脚支持期の増加

歩行時のバランスを取るために両脚を地面つけたままになり、スムーズな重心移動が制限されます。

③步隔の増加

つま先の開き（歩隔の増加）は股関節を伸展するお尻や内ももの筋肉が使いにくくなります。

④過度な前傾

過度な前傾姿勢は腰への負荷を増加させるリスクがあります。

このように中高年に近づくにつれ、さまざまな原因によって歩行スピードは低下しやすくなります。

今回のテーマの股関節の伸展制限は、特にステップ長の短縮につながるリスクがあります。

「大股で歩くことが苦手」

「歩幅が狭くなった」

このような悩みがある場合、股関節の伸展が歩行に悪影響を与えているかもしれません。

可動域チェック

❶あお向けになりチェックしたい脚をまっすぐ伸ばす

❷反対の脚を胸に抱き抱える

○伸ばした足が浮かずに胸に太ももがつけばOK

×伸ばした脚の膝が浮いてしまう場合には股関節伸展の可動域が制限されている可能性あり

❶あお向けで膝を90度程度曲げます

❷片脚を浮かしてお尻をまっすぐ持ち上げます。

○肩・股関節・膝が一直線になればOKです。

×まっすぐになるまで上がらなかったり、腰の張りや痛みが出てしまうと伸展筋力不足の可能性があります。

お尻の**大殿筋（だいでんきん）**や、**内ももの内転筋（ないてんきん）**といった筋肉の機能が関わっています。

これらのセルフチェックを行い、どちらもできなかった場合は、股関節の伸展がうまくできていない可能性があるので要注意です。

最後に股関節の伸展に効果的なストレッチとエクササイズの一部をご紹介していきます。

腸腰筋ストレッチ

腰から股関節前面に向かって付着する腸腰筋（ちょうようきん）の柔軟性の低下は股関節の伸展を制限する可能性があります。

腰を反らずに鼠径部を伸ばし、股関節の伸展に必要な柔軟性を高めていきます。

ヒップリフト（内転筋・大殿筋）

お尻を持ち上げるヒップリフトでは前述したお尻の大殿筋や、内ももの内転筋といった股関節を伸展させる筋肉の筋力を高めていきます。

デッドリフト

デッドリフトでは股関節を曲げた体勢から、地面を押しながら股関節を伸展させていきます。

歩行で股関節を伸展させる筋力と、動かし方の感覚にダブルでアプローチしていきます。

以上、歩行スピードと股関節の伸展の関係性についてご紹介させていただきました。

歩行スピードを上げるためには、今回の股関節に限らず、柔軟性や筋力など体の特徴、過去の怪我や生活習慣などが大きく関わり、体に合った適切なトレーニングを選択することが重要です。

当施設では体の悩みや、細かい動作も分析し最適なトレーニングプログラムをご提案します。

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