「足部の剛性」を高めて推進力を生み出す.踵骨モビリティエクササイズ

前方への推進力はさまざまな球技において、とても重要な要素の一つとして挙げられています。

 

では、推進力を高めるためにはどのようなアプローチがあるのでしょうか?

 

 

1.地面反力

まず推進力の大きさというのは、地面を斜め後方に押すことで生まれる斜め前方への“地面反力“で表されます。

 

(*地面反力…地面と接触している際に、接触面から受ける反発力のことを指す。)

 

 

地面反力を高めるためには、末端の足部の剛性が高まっている必要があります。

 

足部の剛性が低い場合は、力が上手く伝達されず適切に地面反力を得ることができません。

 

その結果、ふくらはぎの筋肉で体を前方に押し出し、パワーが出ない上にふくらはぎが攣りやすくなるという現象が起きてしまいます。

 

 

例えるなら、地盤が緩い土地に家を建てているようなものです。土台が崩れたら頑丈な家を建ててもすぐ崩れてしまいますよね。

 

 

2.足部の剛性

足部の剛性が高まった状態というのは、足底筋膜が緊張し、足のアーチが挙上して固定される状態のことを指します。

この状態は、足指が背屈(反る)することにより引き起こります。

これをウィンドラス機構と言います。

 

 

このウィンドラス機構を適切に働かせ、足部の剛性を高めるために整えておきたいのが、

 

「踵骨のモビリティ」

 

 

です。

 

踵骨はつまりかかとのことですが、かかとのモビリティとはどういうことなのでしょう?

 

 

3.踵骨のモビリティ

踵骨は、アキレス腱と足底筋膜がそれぞれ両端に付着しています。

 

これらを一つのユニットとして考えると、どちらかが動くとかかとの傾きも変化するということが考えられます。

 

 

つまり、

 

アキレス腱が硬くなる→踵骨が前傾(足底腱膜側に落ち込む)し、足底腱膜が伸びる。

 

足底腱膜が硬くなる→踵骨が後傾(足裏のアーチが上がる)し、アキレス腱が伸びる。

 

上記のようなことが引き起こります。

 

 

ここで大切なのは、踵骨の後傾のモビリティです。

 

後傾方向への動きは、足底筋膜が緊張し、足のアーチが挙上する際に引き起こります。

 

アキレス腱・アキレス腱に付着する下腿三頭筋の柔軟性がない場合、ウィンドラス機構などにより足のアーチが挙上した時に、踵骨が後傾方向に動かず、足底腱膜の緊張が高まらない結果、足部の剛性も高まりません。

 

そのため、アキレス腱とアキレス腱に付着する下腿三頭筋の柔軟性が踵骨後傾のモビリティ、ひいては足部の剛性の向上のために必要ということになります。

 

 

4.足部の剛性を高めるエクササイズ

これまでの話をまとめると、推進力を高めるためにはどのような流れで進めていけばいいのかがなんとなく見えてきます。

 

・推進力を高めるためには、足部の剛性を考えます。

 

・足部の剛性を高めるには、踵骨後傾のモビリティが必要になります。

 

・踵骨の後傾のモビリティには、アキレス腱・下腿三頭筋の柔軟性が必要になります。

 

それでは、実際に足部の剛性を高めるエクササイズを実践していきましょう。

 

 

ケア・ストレッチ

脂肪体ケア

 

アキレス腱の周囲にあるケーラー脂肪体の柔軟性を出していきます。

ケーラー脂肪体の柔軟性を出すことで、アキレス腱周囲の滑走性を改善します。

 

 

アキレス腱ストレッチ

 

アキレス腱と下腿三頭筋の柔軟性を高めます。

かかとを遠くに伸ばすことで下腿三頭筋の柔軟性を高め、かかとを上げる(下腿三頭筋が収縮する)ことでアキレス腱が伸ばされ柔軟性が高まります。

 

 

足部剛性エクササイズ

次に、アーチが上がり、足部の剛性が高まった状態を作り出します。かかとを遠くに伸ばす意識を持つことで、より踵骨の後傾を促します。

 

 

最後は足部の剛性が高まった状態を保ったまま、股関節の力で前方への推進力を生み出していきます。

 

 

上記の順番でエクササイズを実施し、足部の剛性を高めましょう!

 

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参考文献:

  1. 吉田昌平,吉川信人/足関節・足部の機能解剖学的理解のポイント/理学療法31(2)/2014
  2. 橋本雅至,木下和昭/足部・足関節機能と身体運動との関係をとらえる 臨床実践足部・足関節の理学療法(松尾善美監修)/文光堂/2018
  3. 片寄正樹,小林匠,三木貴弘/5 足部アーチの過剰低下(扁平足)足関節理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く/株式会社メジカルビュー社/2018

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